第五回 東京デジタルフォローアップ官民連携連絡会議事録

令和5年3月23日(木)15:00~16:00
(オンライン開催)

1.次第

⑴東京都事業説明

①令和4年度デジタルデバイド事業取組実績および
 令和5年度デジタルデバイド事業実施予定
②TOKYOスマホサポーター制度 一般募集開始
③高齢者のQOL向上のためのデジタル活用支援事業

⑵連絡会会員活動紹介

東京しごと財団

2.議事内容

〇深井戦略部長
 東京都デジタルサービス局戦略部長の深井でございます。本日はお忙しい中、岩﨑先生をはじめ、多くの会員の皆様に、本連絡会にご出席いただいていること、改めて感謝申し上げます。開会に当たり一言ご挨拶申しあげます。
 令和3年10月のデジタルの日をきっかけとした、この官民連携連絡会も、5回目となりました。本連絡会の目的・事業に賛同する様々な企業・団体の皆様にご参画を得て、デジタルデバイドの是正に向けた取組や、先進事例の共有などを進めてきたところでございます。
 去る10月に開催いたしました第4回連絡会では、東京都から、令和4年度のデジタルデバイド対策の取組の上半期実績と、TOKYOスマホサポーター制度の骨子案について共有させていただきました。また、連絡会会員活動紹介としては、高齢者のスマホ活用促進に向けた取組として、京セラ株式会社より活動の報告をいただきました。
 スマホサポーター制度につきましては、1月末から一般募集を開始いたしました。これに先立ち、会員の皆様には、募集用Webページやオンライン研修のカリキュラムなどについて、多くの貴重なご意見をいただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。皆様方のご協力もあり、開始から2か月弱、大きなトラブルもなく運営しておりますが、これをしっかりと軌道に乗せ、取組の輪を広げていくことが重要と考えております。引き続き、よろしくお願いいたします。
 さて、本日の連絡会では、令和4年度における都の取組実績や令和5年度の取組予定、特にスマホサポーター制度や高齢者のQOL向上のためのデジタル活用支援事業について共有し、会員の皆様からご意見を頂戴したいと思います。皆様の知見や経験を基に、事業実施に向け、さらにブラッシュアップできればと考えているところです。
 また、今回は、スマホサポーター制度のカリキュラム検証に御協力いただきました「東京しごと財団」様から、サポーター制度の検証テストの模様や、スマホ活用支援に関する活動を紹介いただきます。よろしくお願いいたします。
 以上、簡単ではございますが、開会のご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

〇事務局
 深井部長、ありがとうございました。ここで、新たに連絡会に参加していただきました団体様である特定非営利活動法人アクティブシニア支援機構の市川様から一言ご挨拶いただければと思います。市川様よろしくお願いいたします。

〇特定非営利活動法人アクティブシニア支援機構 市川様
 この度、新規に参画させていただきました特定非営利活動法人アクティブシニア支援機構の市川と申します。よろしくお願いいたします。当機構は2017年3月6日、NTTグループのOG・OBの就労支援として立ち上げました機構でございます。
 主な業務は、全国のNTTグループのOG・OBの皆さんの就労支援及び就労のための公開講座、訓練、再教育事業を主な仕事としておりまして、大きな柱としまして設立当時からスマホ教室の運営及び講師育成を実施してまいりました。スマホ教室はショップでの教室講師から自治体向けの講師など幅広く経験させていただいております。令和4年は、自治体などで15箇所、スマホ教室55回を実施してきました。我々シニアが講師となり、体験を踏まえわかりやすく紹介して、一歩踏み出すきっかけになるスマホ教室を目指しています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

〇事務局
 市川様ありがとうございました。それでは次第に沿って進めさせていただきます。まず(1)東京都事業説明について、デジタルサービス局戦略部戦略課長の久賀谷からご説明差し上げます。

〇久賀谷戦略課長
 東京都デジタルサービス局戦略部戦略課の久賀谷と申します。私からは令和4年度、今年度のデジタルデバイド事業の取組実績、来年度の取組予定、特に皆様にご協力いただきましたスマホサポーターの状況なども含めてご説明したいと思います。よろしくお願いいたします。
 令和4年度の取組実績として、まず、スマホ体験会・相談会の実績を報告させていただきます。こちらは5月から高齢者向けスマートフォン利用普及啓発事業として実施しているもので、2月末までの実績値は、スマホ体験会と相談会の合計で約2400回 を実施し、15,000人の方にご参加いただいております。昨年度と比較して大きく増加しており、昨年度は半年間の実施ではありましたが、それと比べても大幅に増やすことができたと考えております。また10月より、月に2回から週1回程度、同一会場で実施する相談会として、6つの自治体で定期相談会を開催しており、約200回を実施して1,360人の高齢者の方にご利用いただいております。
 次に、令和5年度に予定しているデジタルデバイド対策の事業でございます。
 1点目は、先ほども少しお話しした高齢者向けスマホ普及啓発事業です。こちらは従来の取組に加えて、復習しながら基礎から応用まで学べる4回コースの体験会を新設し、体験会・相談会の規模についても拡大して実施したいと考えております。
 また新たに、障害をお持ちの方を対象として、障害の種別に応じてアクセシビリティ機能や便利なアプリの使い方を紹介するような、障害者向けのスマホ体験会を新設し実施したいと考えております。
 2点目が高齢者・障害者情報格差是正モデル事業です。こちらにつきましては区市町村と一緒になって高齢者や障害者の方をターゲットに、デバイドのモデル事業を作って進めているものでございます。令和3年度、4年度とモデルを作って実施してきましたが、取りまとめたガイドラインを活用して事業を実施する区市町村を、来年度は支援していきたいと考えております。
 それから3点目は、TOKYOスマホサポーター制度です。1月から募集を開始し、来年度は区市町村独自事業でのサポーターの活用や、サポーター活動の拡大に向けた取組を行っていきたいと思っております。こちらの募集状況や実績などにつきましては、この後ご説明をしたいと考えております。
 4点目の高齢者のQOL向上のためのデジタル活用支援につきましては、こちらは新規に実施するものでございます。これまで都の事業のスマホ体験会・相談会を実施したときに、困った時にいつでも相談できる場所が身近にほしい、というような声を多くいただいていることから実施するものとなっております。内容としては、高齢者向けの施設や公民館などで、定期的な相談会や、参加者の交流を促進するようなプログラムなどを実施していきたいと考えてございます。

 続いて、次第②のTOKYOスマホサポーター制度についてご説明いたします。
 身近な地域で学生や高齢者などが活動する新たな取組として本制度を創設し、昨年7月から、延べ200名の方に、講師経験者であるNPOの方を中心に、先行的に活動いただいているところです。会員の皆様には、先行実施やウェブサイトのテスト利用などで多大なるご協力をいただき、ありがとうございました。その際のご意見を制度設計に反映して、1月末から一般募集を開始したところです。テキストの反映の例としましては、例えば「タップ」などの用語の意味がなかなか高齢者の方には伝わらないというような意見も多くいただいておりますので、わかりやすい言葉への言い換えや、擬音を用いた伝え方などの事例集を作成したり、セキュリティ面での不安をいだく高齢者が多いということから、安全に使うためのパスワードの設定などの対策や、困ったときの相談先窓口の案内であったり、あるいはアプリの利用料金を気にされる傾向があるということですので、アプリの有料無料の見分け方なども、テキストに記載させていただいているところでございます。
 スマホサポーター制度の登録および活動の状況でございますが、3月15日の時点でオンライン講習を修了してサポーター登録いただいた方が182名となっております。傾向としては、60代と70代の方が約6割ということで、シニア層が多くなっており、年代が若くなるにつれて少なくなる傾向がありますので、若年層にも拡大をしていくということが次の課題かと考えております。また、活動状況につきましては、研修を修了したサポーターの方に、まずは東京都が主催するスマホ相談会で活動いただいております。例えば、西東京市での活動でございますが、4名のサポーターの方にご活動いただいて、相談者は26名の方が来場され、スマホに関するご相談に対応いただきました。この時、サポーターへのインタビューも実施させていただいておりまして、こちらの当日の模様につきましても、後日ウェブサイトに掲載をしていきたいと考えているところです。それから、2月にはシルバー人材センター様で、制度検証を兼ねた相談会を実施させていただいておりますので、この後、財団様の方から発表いただけると思います。
 次に、スマホサポーター制度の登録の流れでございます。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、まず、専用のwebサイトからエントリーいただき、オンラインでの研修受講後にスキルチェックを受けていただき、修了者にはオープンバッジが発行されるという流れになっております。スマホ操作などにお困りの多くの高齢者の方を身近な地域で支援していくために、今年の12月までに約1,000人のサポーターの育成というのを目標としております。会員の皆様には、サポーターにご登録いただいたり、皆様のご関係の方、あるいは本制度に興味のある団体などへの、幅広い周知などにご協力をぜひお願いできればと思います。
 続きまして、スマホサポーター制度の令和5年度の制度展開、活動場所の予定です。現在、サポーターの方にご登録いただく機能はありますが、サポート活動の場所の主催者の方からご登録いただける機能がありませんので、7月ごろにはサポート活動の依頼の登録が可能となるようなシステムの改修を実施していく予定でございます。また研修のコンテンツのブラッシュアップを適宜実施し、今は座学しかないですが、ロールプレイングの研修についても来年度以降検討していきたいと思っております。それから、活動の場所につきましては令和5年5月から6月ごろまでは、引き続き都の相談会での活動となります。すでに一部のサポーターには活動いただいているところでございますけれども、相談会の事業者は来年度また別の事業者になりますので、調整フローは変わってくることがありますので、ご了承いただければと思います。それから、7月頃が目処になると思いますけれども、サポーターのwebサイトより、活動を希望する場にサポーターが応募することが可能となるような改修を行っていきたいと思っております。

 続きまして、③の高齢者のQOL向上のためのデジタル活用支援事業は、令和5年度から新規で実施する事業でございまして、高齢社会白書で、デジタルを活用したコミュニケーションにより、多くの高齢者の方が生きがいやつながりを実感しているというようなデータがございます。また、都のスマホ相談会とか体験会に参加した高齢者の方からは、定期的な相談の場ですとか、反復学習できるような機会や場が欲しい、というような声が多く寄せられているところでございます。こうした背景がありまして、高齢者の社会参画や、QOL向上にも寄与するような、身近な施設で、いつでもデジタルについて相談して、交流できるような環境整備を行っていきたいと考えております。具体的には、現在、相談会や体験会を実施させていただいておりますが、こちらが一過性のものになっている部分というところもありますので、これをどう継続的にやっていけるかということでございまして、具体的には、例えば常設の相談会場や、スマホの相談を通した交流の場を設置するということを考えております。交流の場につきましては、スマホ相談を通して高齢者の交流促進につながるようなプログラムを検討していきたいと考えているところでございます。こちらの事業につきまして、これからその制度構築や制度詳細について精査していきたいと思っており、皆様からもぜひご意見をいただきたい点となります。
 まず1点目として、スマホの相談を通した交流の場ということで、どういったプログラムがあれば、高齢者の参加意欲を喚起することができ、QOL向上につなげることができるかといった点でご意見があればいただきたいなと思っています。例えばスマホで、SNS・脳トレのアプリの使いかたを学びながら交流などが考えられますけれども、日頃、高齢者の方と接している皆様のご意見や、あるいは地域の取組でデジタルを活用したもので、ご存知の事例があればご教授いただければと思います。続いて2点目です、スマホの相談を通した交流の場というのは、高齢者の身近な施設というのを想定しておりますが、具体的にどういった場所が良いかとか、他にどのような場所での開催が望ましいかなど、ご意見がありましたら合わせていただけると大変助かります。
 私からの説明は以上でございます。

〇事務局
 これから意見交換及び質疑応答に移ります。まず、アドバイザーの岩﨑尚子教授よりご意見をいただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

〇岩﨑教授(早稲田大学 岩﨑尚子教授)
 早稲田大学電子政府・自治体研究所の岩﨑尚子です。まず久賀谷様、ご説明どうもありがとうございました。冒頭、深井様の御挨拶にもありましたように、東京デジタルフォローアップ官民連絡会も5回目の開催ということで、デジタルデバイド対策や先進事例の紹介、また横展開に向けて着実に成果がみられていると思います。令和4年度の取組実績を拝見いたしますと、スマホの体験会も令和3年度と比較して実施自治体数も非常に増えていますし、参加者数も約3倍以上ということで、着実に増えています。自治体別の定期相談会の開催実績につきましても、例えば大田区や練馬区ではかなりの数となっておりまして、量的にもずいぶん充実してきていると考えます。スマホサポーター制度も大変充実しており、今後は若年層世代の参加もぜひ期待したいと思います。
 令和5年度の事業も伺いましたが、情報格差の是正やスマホサポーター制度のみならず、新規事業としてのQOL向上のための活用支援を推進されているということで、より一歩、高度な取り組みに移ってきていると思います。以前、私どもの研究所が高齢者の皆様方に行った社会調査でも、生きがいや他者とのつながりを強く願う高齢者の方が多いということが明らかになっています。最近では独居の高齢者の方も非常に増えています。こうした方をつなぐ役割としても、スマホは重要なツールでもありますし、また、地域の、こうした取り組みが孤独の解消のためにも、大切な触れ合いの場になると考えています。高齢者のみならず、障害者の方も含めて、多くの方が、スマホを楽しみながら学び、活用することで、世界や社会が開けていく。そうした取り組みをぜひ今後も継続して進めていただきたいと思います。

〇事務局
 続きまして、会員様からご意見・ご質問いただきたく存じます。

〇ほっとスマホステーション 平林様
 ほっとスマホステーションの平林と申します。よろしくお願いいたします。先ほど岩﨑先生がおっしゃっていた、若年層のサポーターを増やしたいというところで、私も一応若年層に入るのかなと思いますが、先日サポーターに登録しました。
 その際に、部下など若いスタッフがやるとなると、時間がかかるなというところがあって、なかなか働いている世代の人たちには時間がかかって大変かな、若年層の方にはちょっときついかなというところは少し感じた部分があります。その辺の改善ができるとさらに増えてくるのかなというところはあります。
 また、意見交換の項番1のプログラムについてですが、私たちは大田区の方でデジタルを使った交流というのをやっておりまして、体操系や運動などがあると結構高齢者の方たちが集まってくださる印象があります。何か動けるようなプログラムというのがいいのかなと思いました。
 2の場所についてですが、大田区の方では老人いこいの家という場所があり、高齢者の方が使える場所で、そういうところは比較的集まりやすく良いかと思いました。
 以上になります。

〇久賀谷戦略課長
 平林様、大変貴重なご意見を頂きまして、ありがとうございます。
 まずは若者・若年層のところですが、研修内容が少し多い部分もあるという意見だったかと思います。研修については、多いと見るか少ないと見るかは難しいかと思っております。我々としても、これくらいは必要かと感じて研修コンテンツを作成したところではありますが、ご意見をいただく中で、ここまではいらないのではないか、あるいは、もっとこういうものがあった方がいいのではないかなど、ブラッシュアップを引き続きしていきたいと思っているところです。また、働いている世代はなかなか難しいかもしれませんが、例えば学生さん向けへのアプローチは今後考え、うまく広げていけるような形を作り、世代間の交流みたいなのも含めて促していければと思っているところでございます。
 ご意見いただいたQOLのプログラムにつきまして、運動系が良いというお話は確かにそういう面もあるのだろうなと思いますので上手く取り入れながら、どういうのだったら高齢者の方の関心や、交流のきっかけになるかなど考えていきたいと思います。
 また、場所についても、老人いこいの家というような、高齢者向けの施設や公民館などを上手く使えるよう、区市町村などにもご協力いただけるように調整していきたいと思っているところです。ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

〇ほっとスマホステーション 平林様
 本当に若い方、特に20代の方たちはスマホの使いかたとかも熟知していますし、教え方とかも上手ですので、是非そういう方たちの力が加わるといいかなと思いました。ありがとうございます。

〇事務局
 平林様ありがとうございました。続いて、挙手ボタンを挙げている東京しごと財団の橘川さま、よろしくお願いいたします。

〇東京しごと財団 橘川様
 東京しごと財団シルバー人材センターの橘川です。スマホサポーターの件で後ほどご説明させていただきますが、先んじて補足させていただきます。
 プログラムについて、私も2年間実践をしてきましたが、高齢者はイベントが非常に好きで、イベント的な視点では単にスマホ教室だとか体験会とか相談会だとなかなか参画が難しいので、現在、お年寄りのeスポーツ・ゲーム感覚の視点でやることができないかと模索していますので、参考としての意見です。
 場所については、局は違いますが、住宅政策本部と連携して実施している都営住宅の集会室で、高齢者を外にということで、一緒にお祭り的にやって、結構上手くいったものですから、そういう場で、スマホなどのデジタル系を一緒にコンテンツで入れたら何かできるのではないかと考えております。また、商店街は高齢者が集まりやすいということで、非常に集客がしやすいのを活かして何かできないかと模索していますので、その辺をこれから検討していただければ、一緒に参画して行きたいと思います。

〇久賀谷戦略課長
 イベント的な要素や性質があると参加しやすいのではないか、高齢者の方も好きで来やすいのではないかという意見かと思います。イベント的なところ、なるべくゲーム感覚などの要素を混ぜると楽しく参加できるということで、大変貴重なご意見をいただけたと思っております。そういった視点も含めて検討していきたいと思います。
 場所につきましても、確かに立ち寄りやすいところや普段住んでいる場所の近くなど、そういったところが実施しやすいのだろうと思っております。商店街という話もいただきましたが、区市町村さんの方でショッピングモールの一角をお借りいただいて、相談会を開催したこともありました。そういった場所は人の流れも多く、たくさんお越しいただいた例もありますので、幅広く検討していきたいと思います。ありがとうございます。

〇事務局
 橘川様、ありがとうございました。
 それでは続きまして次の次第に移らせていただきたいと思います。
 続きまして、(2)連絡会会員活動紹介ということで、これまで本連絡会において、デジタルデバイド是正の検討に当たって都の取組を具体化し、会員の皆様と共同して進めていくために、会員からこれまでの活動や知見についてご共有いただきました。
 今回はスマホサポーター制度のカリキュラム研修にご協力いただきました、東京しごと財団様から検証テストの模様やスマホ活用支援に関する活動をご紹介いただきたいと思います。それでは、東京しごと財団の瀬尾様よろしくお願いいたします。

○東京しごと財団 瀬尾様
 東京しごと財団の瀬尾と申します。本日は東京しごと財団とシルバー人材センターのスマホ活用支援に関する活動と題しましてお話をさせていただきます。
 一つ目は東京都と当財団の連携、二つ目は当財団のスマホ活用支援に関する活動、三つ目はTOKYOスマホサポーター制度に関する私どもの活動について、四つ目は今後TOKYOスマホサポーター制度をどのように活用して行くかという流れでお話を進めてまいります。
 まずは一つ目、都と当財団の連携についてです。当財団、東京しごと財団は都の政策連携団体でございまして、政策実現に向けて都と連携して事業を実施していく役割を担っております。一方、都のシルバー人材センターですが、都内に58箇所ありまして、高齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに地域社会の活性化に貢献する組織です。シルバー人材センターというと、駅前の自転車の整理のおじさんというものをイメージされる方が多いかと思いますが、最近ではスマホ教室の講師のお仕事などもしております。そういったお仕事の機会を得るために、私どもは就業の提案を行なって、実施に至るまでの支援をしております。
 ただいま、都と連携と申し上げましたが、連携している都の事業は2つございます。まずはTOKYOスマホサポーター制度で、シルバー人材センターの会員が登録を進められるように、私どもは登録の促進を図っております。そして、スマホの体験会・相談会をシルバー人材センターにて実施するために、会場の提供や広報のお手伝いができるように調整を図っております。
 次に二つ目の、私どもの独自の活動についてです。シルバー人材センターでは独自のスマホ教室・相談会を行っており、会員がスマホの講師になっています。また、行政や企業様等から、スマホ関連の業務を受注しております。例えば、自治体の電子商品券のサポート業務でしたりコロナのピークの時には、ワクチン接種予約の代行といったような、業務を行っておりました。私どもは、そういったお仕事をするために、講師養成の講座を行ったり、またお仕事を得るための就業の提案を行ったりをしております。
 続いて三つ目の、TOKYOスマホサポーター制度に関する私どもの活動です。先般、2月に検証テストに港区シルバー人材センターが協力させていただきました。私どもがこのサポーター制度に登録する目的として主に2つございます。まず1つがシルバー人材センターにサポーターがいますよということを対外的にPRすることによって、会員の就業を拡大させたいという狙いがあります。そして、2つ目に研修を通じて、会員全体のデジタルリテラシーの向上を図りたいという目的があります。港区シルバー人材センターがまず先行してオンラインの研修を受講しまして、そして9名の会員がサポーターに登録をしました。そしてその後、スマホの相談会で実際に相談者の方に対応しました。その時の相談内容は、例えば「LINEグループで仲間とつながりたい」「港区発行の電子証券の手続きについて知りたい」「ガラケーからスマホへ移行したい」のように実に多岐に渡りました。相談会のサポーター役をやってみての感想を聞いたところ、研修は初歩的な内容かと思ったのですけれども、実際に相談してみると、求められるレベルは高いなあというような声がありました。さらに、サポーターからの感想では、「わからないことがわからないといった相談者がいらっしゃり、質問内容を上手く引き出すということが難しかった」「解決できない問題について相談窓口を紹介したいけれども、適切な相談窓口を把握していない」のような声がありました。また、教材については、サポーターの心構えの部分が参考になったなど、概ね好評でした。さらに、開催方法について、「一人だと回答できない場合に不安、複数人で対応できると活動の安心につながる」「相談時間については30分だとやや短い。質問に対して回答するだけだと足りるかもしれないが、相談者が一人でやってみようというところまでもっていくには、時間が足りない」というような感想がありました。
 先ほど申しましたように、港区の9名の会員が先行して、シルバー人材センターとしてサポーター第一号になったという話は、私どもがニュースにまとめて58センターに発信したところ早速反響があり、登録してみるというセンターが出ております。このように取組は多くのセンターへと波及していくと考えております。
 最後に四つ目の、サポーター制度の今後の活用についてです。私どもは、この制度を会員の就業の拡大に活用して行きたいと考えており、事例を3つ挙げています。事例1では、行政へ会員の就業を提案する際に、センターの会員がスマホサポーターに登録していることをPRしていけるのではないかと思っております。現在、区市町村から実際に、区のスマートフォン相談会などを受託しておりますが、今後提案して行く際に講師としての箔が付くと考えております。さらに事例2では、家事援助サービスにこの制度が使えるのではないかと考えております。家事援助サービスというのは、高齢者宅に掃除・料理・洗濯のような家事のお手伝いに伺うもので、その際にスマホのちょっとした困りごとにも対応できるのではないかと考えており、家事援助サービスに付加価値がつくのではないかと考えています。今年度はステップ1として講習を試験的に行い、受講した方にはバッジを作成したのですが、皆さんに興味を持っていただき、ステップ2としてTOKYOスマホサポーターのオンライン研修を受けていただく計画でした。しかしながら、家事援助の契約上難しいということが問題になっており、今後の展開について検討しているところでございます。最後の事例3はなんでも相談会です。なんでも相談会では、シルバー人材センターで働きたい方やお仕事を頼みたい方の相談を実施しておりますが、この相談会にTOKYOスマホサポーターに参加していただき、スマホ相談にも活用できるかと考えています。
 ただいま事例を3つ申し上げましたが、サポーター制度のもう一つの活用としては、シルバー人材センターの会員のスキル向上にあると思っています。センターの会員がサポーターとなって会員同士が教え合うことができるようになると、その教え合いの輪が地域に広がっていき、都内センターの会員が8万人おりますので、その波及効果は大きいと考えております。
 最後にまとめとして、シルバー人材センターの強みをお伝えして終わりにしたいと思います。1つ目は、シルバーは会員が高齢者ならではの視点を持っているという点、2つ目は、シルバーは地域に密着して活動していますので地域で困っていることや手の足りないところをよく知っている点、3つ目は、地域ネットワークがあって、直接地域の方に声をかけられるという点です。このような強みを活かして、今後シルバー人材センターは、スマホの活用支援を行っていきたいと思っております。
 ご清聴ありがとうございました。

〇事務局
 瀬尾様ありがとうございました。ただいま発表いただきました。東京しごと財団の瀬尾様に今一度拍手をお願いいたします。
 ただいまの東京しごと財団様の取組に関しまして、アドバイザーの岩﨑尚子教授よりコメントいただきたく存じます。岩﨑先生、よろしくお願いいたします

○岩﨑教授
 岩﨑です。瀬尾様、ご発表ありがとうございました。
 まず率直な感想を申し上げますと、スマホ相談会でいただいた相談内容のレベルが非常に高くて驚きました。スマートフォンの所有者もどんどん増えており、リテラシーも高くなってきて使えるスキルも増えていると感じております。最近はアプリケーションも多種多様ですので、今後はスマホサポーターのレベルを向上させていく取組も必要なのかと感じました。また、今後スマートフォンを活用できる人の母数を増やしていくためには、基本的なところはビデオや動画で学んでいただいて、その次に個別の質問に対応できるようにしていくといったことも検討されても良いかもしれません。
 シルバー人材センターは、さまざまな取組をされておられると思いますが、例えば依頼をされる時に、スマホを通して申込をされた場合には割引制度などのインセンティブを設けるなど、スマートフォンを活用するメリットがあると良いのではないかと感じました。どうもありがとうございました。

〇事務局
 岩﨑先生、ありがとうございました。続きまして会員の皆様からご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。
 ―――質問なし―――
 質問がないようですので、最後に今後の連絡会の開催予定についてご案内差し上げたいと思います。
 令和5年度の連絡会は、6月、9月、2月の計3回の開催を予定しております。
 次回、第6回の連絡会では、令和5年度における都の事業説明や、令和6年度事業の検討に向けた意見交換等予定しております。
 また連絡会以外でも随時会員の皆様へアンケートなどを実施させていただく予定でございます。引き続きご協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
 本日予定しておりました案件については以上となります。本日ご出席いただいた皆様におかれましては、お忙しい中、ご参加いただきありがとうございました。改めてお礼申し上げます。それでは本会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

記事ID:110-001-20231212-010207