第4回施設系データ集約WG 議事概要
時間:2022/3/17(木曜日) 17:00~18:00
場所:都庁19A会議室
アジェンダ
- 今年度のWG活動及びアイデアソンの振り返り
- 各ユースケース案の課題と今後の取組方針
- 意見交換
- 今後の活動方針等
議事概要
1. 今年度のWG活動及びアイデアソンの振り返り
(1)防災データWGの概要
ア.防災に役立つデータの官民間での流通拡大、防災サービスに必要な情報の洗い出し、整備・連携方法などの検討を通じて、防災サービスの開発を後押しし、防災対応力の向上をすることを目的としている
イ.第1回のキックオフ以降、第2回WGではオープンデータを中心に現在提供可能な防災データ、利活用ニーズについて紹介を行い、それらを踏まえて、第3回WGでは本WGで具体的に検討を進めるユースケース案と、その課題について報告を実施した。今回の第4回WGでは、各ユースケースの課題・対応策を踏まえ、今後のロードマップ、検討方針についてご説明をする
(ア)第3回WGでは、今後検討を進めていきたい発災時、平時のユースケースイメージ、それらの実現に向けた課題について共有し、意見交換を実施
① 発災時のユースケースとして、東京都災害情報システムで収集している避難所関連情報の利活用や、発災時の断水・道路通行止めなどのインフラ関連情報の利活用を検討
② 平時においては、ハザードマップや過去の被災データなどの静的データの利活用について検討
(2)アイデアソン概要
ア.産学官の企業・団体の皆様にお集まりいただき、①発災時の都民生活の復旧に資する官民データダッシュボード、②平時の新規ユースケース、③発災時の新規ユースケースの3つのテーマに分かれて意見交換を実施
イ.オンラインホワイトボードツールを活用し、また参加者同士の顔が見える環境で実施したことで、ざっくばらんな意見交換の場となった
ウ.ご参加いただいた方からは、「民間事業者のリアルな課題感を聞くことができた」、「官民一体で課題解決を行う機会であり、次年度以降も定期的に開催してほしい」といった声もいただいたため、次年度もこうした参加者双方向型の意見交換の場を用意することを検討
エ.発災時のデータ利活用ニーズや課題、新規ユースケースについて意見交換を実施
(ア)発災時については避難所だけでなく、トイレや浴場の利用可否・混雑状況に関するデータが欲しいといったことや、それらを利活用する上での情報の公開範囲等の課題についてもご意見をいただいた
(イ)新規ユースケースについては、ドローンや衛星データ等を活用した対応の効率化や保険金支払いの早期化や発災時の物資需給ギャップを防止するためのアイデアなど、さまざまなご意見をいただいた
(3)第3回WG・アイデアソン参加者からの意見
ア.避難所の開設・混雑状況や道路不通情報等に関するニーズ、データの利用条件・ルールの明確化、データの鮮度・正確性を保つ必要性等に関する意見をいただいた
2. 各ユースケース案の課題と今後の取組方針
(1)DISで収集した避難所などの情報の利活用に関するユースケース
ア.避難所の情報の利活用に向けた課題と取組方針
(ア)データ利活用しやすい形で速やかに流通できるか:具体的にどのようなサービス・ユースケースを想定して、どのような避難所のデータを流通させるか、またデータはどのような形式が望ましいか
① 次年度のケーススタディ事業を通じて、具体的なケーススタディに取り組み、検討する予定
② 次年度はTDPFのデータ連携基盤のプロトタイプを構築する予定。実際にケーススタディで活用したデータを基盤のほうに流し、システム面での課題・対応策についても整理する予定
(イ)リアルタイムにデータ収集できるか:(ア)を踏まえ、対象とする避難所データをいかに効果的に収集するか
① DISにデータ入力していただく区市町村の皆さまのご意向も含め、このWGの中で今後検討予定
② 避難所データがDISに入力されてどのようにデータ利活用されるのか、その効果やメリットなども整理しながら、入力していただく区市町村にとってのインセンティブの設計が重要だと理解
(ウ)データの提供範囲、利用条件
① ケーススタディの取組、WGの参加者の意見も踏まえて検討予定
イ.避難所などの情報の利活用に向けたロードマップ(案)
(ア)TDPF
① 今年度のデータ連携基盤の要件定義を踏まえて、次年度仮想基盤を構築する予定
② 令和5年度以降については、必要機能を踏まえて本番のデータ連携基盤を徐々に構築しながら、段階的に機能拡充していくことを想定
(イ)DIS
① 次年度ケーススタディなどを通じて、システム面での課題・対応策について整理
② 令和5年度以降に要件定義やシステム改修・運用といった流れを想定
ウ.ケーススタディ事業:TDPFを利用したユースケース創出の取組
(ア)来年度は今年度の取組をさらに発展させ、WGでの検討テーマを中心に新たにケースタディを3件公募する予定
① 防災データWGのテーマについても候補となり、各プロジェクトの実施にあたっては、データ連携基盤のプロトタイプを使用し、システム要件のフィードバックを行うことも予定
② 4-6月にテーマ設定・公募、7月以降に協力事業者の募集・実証を予定
(2)発災時の道路通行止めや断水等のインフラ稼働状況に関するユースケース
ア.インフラ関連情報のイメージ
(ア)断水状況については、区部の断水等の状況について示すマップ上に、各エリアの断水率を色分けして表示し、発信する予定
(イ)災害時給水ステーションについては、区部、多摩地区の給水拠点の施設名・所在地などについて、さらに開設状況等を付加して発信する想定
(ウ)都道の通行止め情報については、路線名や通行止め区間、開始日時等情報の発信をする
(エ)上記のような情報を発災時に各局HPや公式Twitterで発信し、データをより利活用しやすい形で流通させていくことを検討
イ.インフラ関連情報の利活用に向けた課題・検討方針
(ア)リアルタイムにデータを収集して発信できるか:発災時に行政の力だけで被災地の状況を把握するのは困難であるため、いかに企業・団体の皆さまが保有されているデータを活用してリアルタイムに情報収集できるか
① 次年度以降関係者と連携しながら、企業・団体の皆さまがどのようなデータを保有されているのか、またその提供意向等を整理しながら、行政としての利活用の余地を検討
(イ)発信した情報を利活用する上での必要なデータ項目やデータフォーマットはどのようなものか、またそれらをどのように整備・加工していくか
① 本WGにご参加いただいている皆様の意見を伺いながら、具体的な項目、フォーマットについて整理する予定
② 今年度TDPFの関連事業として、行政データ整備モデル事業にも取り組んでおり、これらも参考にしながらデータ整備等の検討を進める予定
(ウ)データ提供範囲
① まずは発信済みの情報を対象としたいため、基本的にはオープンにする方向で検討
ウ.行政データ整備モデル事業
(ア)自治体へのアンケートなどを通じて選定した「地域・年齢別人口」「バリアフリートイレ」「ハザードマップ」など5つの整備モデルを対象としてデータ整備作業を実施
(イ)区市町村の皆様にもご協力をいただき「画像PDFからの変換」「Excelデータからの変換」など4つの整備モデルについてマニュアル化を実施
3. 意見交換
(1)東京都総務局総合防災部
ア.課題①:ユースケースの具体化
(ア)アイデアソンにて災害発生下では、避難所の開設状況や混雑状況、飲料水に関わる情報などが必要であるという意見をいただいた
イ.課題②:データ提供・流通に当たってのルールをどのように決めていくのか
(ア)アイデアソンでは、データの正確性や更新頻度、情報収集、入力に要する人手がデータ提供のハードルとなるという意見を頂いた
① 正確性、頻繁な更新、提供データの項目を増やすと入力側の業務量が増えていくため、災害発生時の特殊な状況も加味しながら提供による効果とコスト(業務量)を比較考慮して検討を重ねていくことが必要
ウ.課題③:データを入力する側にとってのインセンティブ
(ア)災害時において都と区市町村の関係機関との情報共有に用いられているDISには現状区市町村の方が入力してくださっているが、データプラットフォームと連携させることで、状況を他の手段よりも早く集約できるという点で非常に有効な仕組みになっていくのではないか
① 一方でこのデータ提供によって、住民の皆さまの災害時の行動にどの程度役立つのか、ひいては区市町村の発災時の対応にどういった効果・メリットをもたらすのかについては、区市町村の皆様も、この議論に入っていただきながら検討を進め、実際にデータを入力していただく担当の方のメリットとして、それを自分事として感じていただくということがこの防災分野でのデータプラットフォームの実現に向けて最も重要な成功要因のひとつになっていくのではないか
(2)参加企業D
ア.長く公開を望んでいた高潮の浸水深については、防災・減災に役立つような活用をしており、直近では河川の監視カメラ・海面のライブカメラの情報もオープン化されたため、運用を検討している
イ.今まだ公開されていないデータ(除雪の状況、道路の啓開情報の見込み)は不確定な情報でも何か連携できるのではないか
ウ.公共交通機関の被災後のデータは存在しているが、分かりやすく可視化すること、データを利活用できるようにすることなどが課題
エ.既存のシステムにAIを導入し、データと被災の状況を鑑みネクストアクションをサジェストするようなシステムに進化させたいと考えており、東京都や参加者と実現できるとレジリエントなシステムが構築できると考えている
(3)参加自治体F
ア.アイデアソンに参加した感想と今後に向けた取組に対する期待
(ア)区や都といった行政だけではなく、民間事業者、それもIT企業のみならず物流を担う企業の参加もあり、さまざまな視点での議論があり非常に有意義であった
(イ)今後は人手を介さずデータが流通できるプラットフォームの構築に向けて議論がより一層進むことを期待している
イ.基礎的自治体として、避難所のデータの利活用についてどう考えるか
(ア)使い方次第ではデータが人の命を奪うこともあることは会議の場でも述べたが、それはデータだけではなく、どのような道具も同じことが言えるため、その点は必ず念頭に置き、安全に配慮しつつも都民、事業者、そして行政の利便性が高まるデータの活用方法が議論できるとよい
(イ)特に避難所開設時は運営を行う区民で構成する避難所運営委員会や、行政も手一杯になり情報の整理が難しくなることから、有用な情報が表に出せず埋もれてしまう可能性があるため、データの生成から流通まで、なるべく人手をかけずに行えるようになれば利活用が進むものと考える
ウ.公共交通機関の被災後のデータは存在しているが、分かりやすく可視化すること、データを利活用できるようにすることなどが課題
エ.既存のシステムにAIを導入し、データと被災の状況を鑑みネクストアクションをサジェストするようなシステムに進化させたいと考えており、東京都や参加者と実現できるとレジリエントなシステムが構築できると考えている
(4)参加企業G
ア.都道の通行止め情報、避難所の情報について
(ア)リストで表示したとしても、どこが該当箇所なのかが視覚的にはわからないため、利用用途によっては地図上に可視化する使い方が有効であると感じている
① テキストデータだけでは該当箇所がどこなのかという特定が難しいため、データに位置情報といわれる座標のリロケート情報を付与する必要がある
② リロケート情報は正確性の観点から、官から提供されるデータに位置情報が付与されていることが望ましい
(5)参加府省庁H
ア.統一した避難所に関する情報を持てていないという問題がある
(ア)災害対応をされる自治体の方々が国・都道府県の要請により、それぞれのシステムに避難所の情報を入力しなくてはならないため、複数のシステムに対して複数回避難所の情報を入力しなくてはいけない状況が起きている
(イ)災害対応において、データの入力よりも実際に現場で起きている災害のほうに注力すべく、入力作業を効率化するため、分散管理されている避難所の情報を統一的に保持できるようにする共通の避難所IDを設けて、それを全ての区市町村の避難所に対して附番する取組を検討している
① 東京都とも適宜意見交換をしながら、どういった避難所のIDに関する構成・ルールがいいのかという点の検討をしている
(6)東京都水道局総務部
ア.発災時においてはライフライン事業者も災害対応に多くの人手が取られる中で、デジタル技術を駆使して人手を煩わせずに情報を提供できれば利用しやすいものになるのではないか
イ.利用しやすいものになれば、電気、ガス、通信など参画いただける事業者の方も増えて相乗効果も期待できるのではないか
ウ.発災時には不確定情報のある情報をすぐに提供するということはなかなか難しいところもある。提供できる内容や範囲、時期などについて皆さまと意見を出し合いながら使いやすいものになっていくように取り組んでいきたい
(7)参加企業I
ア.東日本大震災の際の教訓
(ア)課題:避難所で必要とされるような物品が全国から寄せられる善意とマッチしておらず、必要なもの(毛布・マット・寝具・防寒具など)が不足をしていて、その段階で必要ではないもの(炭酸飲料等)不要なものがあふれていて、荷受、保管、出荷業務等の物流業務の支障になった
(イ)対応策案として、事前に予めデータを活用することで必要な物資をシミュレーションできるのではないかと考えている
① 各地域にお住まいの方々の男女比や年齢層等のデータを予め得ることで、必要となるような物品、救援物資を予め想定した上で、それを発災時、緊急下において、いかに必要なものを必要なときに必要なだけ届けられるように手立てを講じるかを検討すべき
(8)参加企業J
ア.次年度に向けた取組
(ア)アジャイル思考で小さなユースケース開発と評価を繰り返して、より多くのものを検討できる機会というのをつくっていただきたい
① Slack等のコミュニティを使って多くのユースケースの創出に向けて取り組んでいきたい
(イ)実際に災害が起きた後の情報提供に関して、家が壊れてしまった、家を建てなければいけない等のケースが発生した際にもっと提供できるデータがあるのではないか
① 保険会社として支払いをした保険金で住める家がどこにあるかなど、災害からの復興に役立つデータ提供も今後考えていければ、都民の皆様の生活の質の向上が図れるのではないか
(9)参加企業K
ア.動的データの正確性に関して、異常値が発見された際にシステムの異常によるものなのか、本当の災害によるものなのかの判定の基準、データの扱い方に関する取り決めを次の段階で深堀することが課題
イ.データの粒度に関して、個人情報に該当するデータを扱うかどうかが開発規模の違いを生むが、防災の観点では属性データレベルで一定の利用価値を見出せるのではないか
ウ.データの正確性、鮮度、粒度に関して、有事だけでなく平時まで広げた範囲においてデータ群が足りているのか、マネタイズも含めたシステムの開発の規模、継続的に利用いただける基盤を提供する観点でのコストなどを今後検討するべき
4. 今後の活動方針
(1)今後の活動方針
ア.避難所データ、インフラの稼働状況に関するデータ利活用に向けた検討
イ.静的データの利活用事例創出
(2)今後の予定
ア.あり方検討会:3月24日木曜日16時半~17時半にて、オンラインで開催
イ.都知事杯Open Data Hackathonの報告会、Demo Dayも3月26日土曜日に開催
ウ.行政データ整備報告会:3月29日火曜日14時~15時半にて、オンライン開催
以上