第3回防災データWG 議事概要

日時

令和3年12月14日(火曜日)13時00分~13時30分

アジェンダ

  1. 第2回WGの振り返り
  2. ユースケース及び課題の共有
  3. 意見交換
  4. 今後の予定

議事概要

1. 第2回WGの振り返り

(1)混雑WG・施設系データ集約WGとの合同開催

(2)現在公開されている防災データ、東京都災害情報システム(DIS)で収集しているデータ、データの利活用ニーズについて紹介し、意見交換を実施した

ア.公開中の防災データとして、高潮の浸水想定区域図など主にGIS系のデータの紹介をした

イ.データの利活用ニーズについては、避難所関連の情報、道路・水道などのインフラの稼働状況、被災箇所といったようなデータについて、多くのニーズが寄せられていた

ウ.意見交換では、「発災時のデータ利活用にあたっては、データの信頼性や正確性が担保されていることが前提である」、「区市町村の皆さまに入力していただいたDISからオープンデータが作れるのが望ましい」、「今後ユースケースを具体的に設定して課題抽出をやっていきたい」などのコメントを頂戴した

エ.アンケートでは、「誤った情報に対する対策の重要性」、「誰がどのようにデータを活用するのかもっと議論が必要であること」、「避難したくなるような情報を適時的確に伝えられる制度の構築」など、今後のWG活動の進め方や留意点について、非常に多くの示唆をいただいた

2. ユースケース及び課題の共有

(1)今後検討を進めていきたいユースケースのイメージ

ア.ユースケース1:DISで収集した避難所などの情報を被災地の復旧支援や避難経路案内等に活用するもの(発災時)

(ア)現在、DISで避難情報や避難所関連情報を区市町村の皆様に入力いただき、それらを東京都防災マップやLアラート経由で配信している

(イ)これらDISの避難所の開設状況や混雑状況等のデータについて、今後TDPFを介して民間事業者の方々に提供し、物資配送やインフラ復旧の参考にしていただくこと、避難所までの移動経路の案内などに活用していただくことなどを想定している

(ウ)今後は行政データに加えて、民間事業者の方々が保有されている防災関連のデータを掛け合わせ、行政自身の災害対応や行政サービスに活かすこと等検討したい

イ.ユースケース2:発災時の断水や道路通行止めなどのインフラの稼働状況、インフラの被災箇所などのデータの利活用を通じ、物資輸送や小売店舗の運営継続の判断などに活用するもの(発災時)

(ア)現在既に道路の不通情報や断水情報については、HPを通じて公開されているが、TDPFを介してそれらの情報をより使いやすいデータとして流通させることができないか、もしくはそれらのデータを掛け合わせることで、被災地の早期復旧などに役立てることができないか等の論点を今後検討したい

ウ.ユースケース3:防災関連の施設やハザードマップ、過去の被災データなどを機械判読可能な形で提供し、災害に対するリスク診断や様々な分析・シミュレーション、コンサルティングに活用するもの(平時)

(ア)既に様々なデータを活用したサービスが展開されているが、本WGにおいても官民のデータ利活用ニーズを伺いながら、今後もニーズの高いデータをより利活用しやすい形で提供していく地道な活動を継続する

(2)ユースケースを検討していく上で現在見えている課題

ア.発災時のユースケースにおける課題

(ア)いかにリアルタイムにデータを収集できるか、またそれらのデータについて信頼性・正確性を担保していくか

  • ①DISについても、いかに区市町村の方々にデータを入力していただくか、網羅的にデータを収集できるか、人の手を介さずにデータを収集する仕組みを構築できるかが課題

(イ)収集したデータをいかに利用しやすい形で速やかに流通させることができるか

  • ①そもそもデータが収集できても、それらを速やかに流通させるシステムや体制があるか、また吐き出したデータがすぐに使える形になっているか等も課題

(ウ)データの提供範囲について、フルオープンにできる情報なのか、できないならどこまでの範囲なら提供ができるか。また利用条件として、発災時だけ利用可能か、平時から利用できるものなのか、どういった利用目的であれば利用してよいかなどが論点

イ.平時のユースケースにおける課題

(ア)収集したデータをいかに鮮度高く維持・更新できるか

(イ)現時点でも紙やPDFでしかないデータを誰が利用しやすいかたちに加工・整備していくか

  • ①誰がデータを加工・整備するのか、といった課題に対する対策に繋がる事業として、今年度「行政データ整備モデル事業」を実施している
  • ②本事業では、自治体のデータの質向上などを目的として、機械判読可能な形式へのデータ整備手法のモデル化を検討している
  • ③自治体の方々へのアンケートやヒアリングを踏まえ、整備モデルのマニュアル化を進める対象データを選定、ハザードマップもその対象となる
  • ④現在5つの整備モデルについて、各自治体のデータ整備の取組状況に応じたマニュアル化を検討。ハザードマップについては、住所情報などから緯度経度を付加していくことなどを検討している

 

3. 意見交換

(1)東京都総合防災部課長代理 菅瀬様

ア.今年度も国内外で災害が発生し、大きな被害が生じている。日本列島も地震活動が活発になっており、地球規模で異常気象が続いている事を踏まえると、東京が災害に見舞われることも不思議ではない状況である。行政としても最大限努力するが、行政だけでは対応できないこともあり、企業・都民の皆様のお力添えをいただきたい

イ.デジタルの力を活用すればより効率的で効果的なことができる。都では「未来の東京」戦略にて防災面でのデジタルの活用を謳っており、このデータプラットフォームの取組もその一環の活動となる

ウ.2日間に渡って開催されるアイデアソンでは、小売・物流・保険・デジタルなど様々な分野の企業の方々がご参加される予定である。それぞれの強みや課題なども自由闊達にお話いただき、貴重なご意見をいただきたい

(2)参加企業A

ア.防災の観点の取組として、自治体と災害支援協定を結び、住宅地図上の備蓄や、インターネットで地図が閲覧できるサービスを提供している

イ.ユースケースに関して、ユースケース1で挙げられているような、避難所開設の情報や混雑の状況や、ユースケース2にある道路の不通情報等の情報が公開されると、A社で運用を行っている各種地図サービスでの情報加工が可能になる

(ア)例えば、発災時におけるルート案内の仕組みとして、道路の不通情報を考慮したルート案内、避難所の開設状況に応じた適切な避難所までの避難誘導を可能とするような仕組みを構築できるのではないか

ウ.具体的にユースケースを想定した時に課題になるのは、収集したデータの利用のしやすさである

(ア)データに付与する座標という観点では、避難所の場合、その施設をピンポイントに特定できる方が利用しやすい。道路不通情報であれば不通区間がポイントではなく、面のデータで整備されていた方が利用しやすい

(イ)利用しづらいデータで公開されると利用者が手を加える必要があるため、リアルタイムでの利用の妨げになることも考えられる。ユースケースに基づき、情報の内容によって整備するフォーマットを定義する必要がある

(3)参加企業B

ア.小型SAR衛星と呼ばれる衛星の開発から運用、衛星データから取れたデータを活用していくソリューション提供などを行っている

イ.平時の段階でいかにデータの異常を検知する防災の仕組みを整えていくか、それを提供するまでのプロセスを自動化していくかが重要である。異常時に備えて平時の中で数値化できるKPIデータを、どの程度変化すれば異常とみなすのかということを大切にしながら事業を行っている

ウ.例えば、地盤が沈んでいくこと自体は特に異常事態ではないが、傾斜のかかった地面が5センチ沈むのと、平坦な地面が5センチ沈むのでは大きな違いがある(斜面が沈む場合地滑りになってその後災害になるが、平坦であれば道路のひび割れ等に関わり後々の地震の災害の要因となる)

エ.平時において、いつからこの傾向が始まっているのか、さらに、沈む傾向はどれくらいなのかなど、災害発生になり得るようなリスク診断のKPIを過去の災害などのデータを元に基準を整えていくことが非常に重要

(4)参加企業C

ア.災害時の連携というよりは平時から連携することで、データ利活用の推進やユースケースの幅もさらに広がっていく

イ.収集したデータの利用条件に関して、提供者側がどのような観点でデータを収集しているのかなど、使い方も含めたルールの明確化をすることが、誤ったユースケースを出さないために必要である。例えば、今回の道路不通情報のユースケースを例にすると、不通情報として挙がっていないところが必ずしも通行可能とは限らない

4. 今後の予定

(1)第4回WG

ア.今年度の総括として、各ユースケースにおける課題や対応策を整理し、次年度以降の検討の進め方について報告予定

(2)その他会議体

ア.2月に第4回東京データプラットフォーム協議会推進会議を開催予定

イ.1月下旬にはオンラインセミナーを開催予定

 

以上

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